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ギャラリーの“観戦マナー”と不動選手の強さの秘密

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こんにちは。タイガー・ウッズに遠く及ばない、ネコ・林です。

コロナの影響で無観客試合が続いていたプロゴルフツアーも、今年はギャラリーの入場が可能となり、特にJLPGAは活況のようですね。ネコは10年位前からJLPGAクラブの会員で、コロナ前は無料で試合を見ることもできましたので、けっこう観戦に行きました。ようやくギャラリー入場が解禁された今年ですが、シーズン終了間際にもかかわらず、一度も行くことができていません。テレビで我慢です。

その、トーナメント会場におけるギャラリーの“観戦マナー”について、今年に入ってから気になる出来事やニュースの記事がありましたので、またまた考察してみました。

クレディセゾンが発行するJLPGAクラブカード

ギャラリー観戦の楽しみ方

ゴルフの現地観戦のスタイルは、大きく分けて二つあると思います。

一つは、定位置に座って、目の前で放たれる全選手のショットを見届けながら応援するスタイル。多くの選手のプレーを見られるので、有名選手はもちろん、新人選手など今まで知らなかった隠れた逸材に出会えるかもしれませんし、それぞれの選手の持ち味を見ることができれば、自分がプレーする時の参考になるかもしれません。特に、ピンポジションに対する各プロの攻め方を見ていると、とても勉強になったりします。

もう一つは、お目当ての選手にスタートホールから最終ホール(もっと言うとホールアウト後のクラブハウス周辺)まで付いて回り、その選手の一挙手一投足を目に焼き付けながら応援するスタイル。推しの選手をとことん推すので、選手の調子が良いときは、ものすごくハッピーな気持ちになれます。目が合ってニッコリされたり声援に応えてくれたりしたら、その日はきっと眠れないでしょう。ネコはどちらかと言うとこちらのスタイルなのですが、最近は魅力的な選手がたくさんいるので、現地に行ったら一人に決められないかもしれません。

ギャラリーの声援は良いプレーヤーを育てる

そんな感じで、ネコは推しの選手に付いていくことが多いのですが、かれこれ、もう10年以上応援している選手がいます。彼女が19歳のころ、とある試合で取材をしたのがきっかけです。

ネコは当時、某企業の広報担当をしていまして、その会社が主催したミニツアーに彼女が出場したときに写真を撮らせてもらいました。その時、持っていたスマホでも写真を撮ったのですが、「それ、私と一緒ですね」と共通点を口にしてくれました(超優しい)。それだけでファンになったネコは、数週間後には熊本空港カントリークラブでJLPGAツアーに出場する彼女の組に付いて回っていました。
プロになって間もない彼女の組に付いて回るのは5人だけ。なぜ、5人とわかるかと言いますと、その組に付いてホールの規制ラインの外を歩いていると、まずは同じ顔触れが移動していきます。ホールが進むにつれ、そのメンバーはどんどん絞られて行き、なおかつ、そのプロのプレーに対する時だけ声が大きくなるんですよ。
彼らはゴルフ好きなので、その組のプレーヤーに対して一様に拍手をしたりするのですが、推しに対してはどうしても力が入った声で「ナイスバーディ」って言ってしまうんです。これはやむを得ないですね。(その時に、後にかけがえのない友人となる人と出会うのですが、その話は別の機会に。)

話は逸れましたが、今のようにアマチュア時代からプロの試合にガンガン出られていたわけではない彼女は、知名度もさほど高くなく、地元に近い熊本であっても、大勢のギャラリーを連れてプレーするということにはならなかったのです。ちなみに、今ではツアー2勝の実績も含めて彼女はその人柄が好かれていることもあって、かなりの人気を集めています。

一方で、このところの「黄金世代」やら「プラチナ世代」や今年のルーキー(なに世代?)は、プロ入り1年目から複数回優勝するなど人気も実力も兼ね備えていますので、それはすごい数のギャラリーを引き連れてプレーしています。あの大歓声や拍手を受けたら、絶対に病みつきになると思うんですよ。それが選手たちにとって更なるモチベーションになって、良いプレーにつながるという好循環が生まれると思うのです。そうしてまたファンを増やしていくので、良いことばかりですね。
でも、そういう中で、毎度気になることがあります。テレビ中継でも必ず聞こえるアレです。

ギャラリーの大移動

「プレー入りまーす。」「止まってくださーい!」キャディさんが発する言葉が気になって仕方ありません。
しかも、毎度毎度、全てのプレーで聞こえてくる気がしてなりません。

PGAツアーを見ていると(当然ながらテレビ観戦です)、キャディが声を上げるのはかなり稀です。長年タイガー・ウッズのキャディを務めたスティーブ・ウィリアムス氏の話によれば、タイガーはギャラリーのマナーが乱れてくると、ティーショットをダウンスイングの途中で故意に止めることを行っていたらしいです。「1回やっておくか。」が合言葉だったようですが、きっと、言葉で注意を促すよりも効果があったのでしょう。しかしながら、そのような注意や警告を発するのは、よほどプレーヤーの近くで何かが起こったときくらいではないかと思います。

国内の試合を見ていると、お目当ての選手がホールアウトして次のホールに向かうと、その選手を推しているファンもぞろぞろ付いて移動を始めます。ネコは直接お会いしたことはありませんが、それが、渋野日向子選手のような超人気選手ともなると数十人単位では収まらないかもしれません。大移動です。
ファンの心理からすると、次のティーショットを良いポジションから見たいと思うのが常でしょう。だって、何百人とその組に付いているのですから、幾重もの人の後ろからだと十分に見られないわけです。そんな時に、まだパッティングが残っている選手は「イラッ」とするかもしれません。というか、するでしょう。キャディさんが「プレー入りまーす。」「止まってくださーい!」と大声を出したくなるというか、出さざるを得ない状況だということは十分に理解できるのです。

トーナメントではギャラリーもコース上の一部を移動できる

ギャラリーの“観戦マナー”が問題なのか?

少し前になりますが、某人気選手が「止まってください。って言ってるのに。大事な大事な一打なの。」(一部省略)とSNSに書き込んだことが話題になりました。先にも記した通り、前々からキャディさんの発する声が気になっていたネコは、いろいろな思いが湧き起こりました。

まずは、そもそもゴルフの観戦マナーとして「物音を立てない」とか「動いてプレーヤーの気を散らさない」ということができない人がそんなに増えたのか。という残念な思いです。ゴルフプレーヤーなら当然のごとく刷り込まれている当たり前のことなので、一瞬そう感じました。
しかし、次の瞬間「もしかしたら、ゴルフ未経験者がゴルフ場に足を運んでくれているのかもしれない」と思い直したのです。もし、そうであれば、そんな良いことはありません。彼らは今後ゴルフプレーヤーとなって、もしくはコアなファンになってくれてゴルフ界を支えてくれる可能性があるわけです。ちょっとだけ先にゴルフを始めた我々が、寄ってたかって彼らを悪者にし「そんなことも知らないのか」と責めたてるようなことをしていれば、これから先もゴルフ人口は増えるはずがありません。ただでさえ、ゴルフ初心者からはマナーは面倒くさいと言われているのですから。
つまり、この問題は彼らだけに押し付けてはいけないと思うのです。少しでもゴルフに興味を持ってもらえたならば、我々は歓迎の形で彼らを迎え、正しく導いてあげたいと考えるのです。

そして、批判されることを承知でプロに申し上げますが、周囲の雑音や動く姿が気になるのは、自分自身がプレーに、ボールに、集中できていないからではないでしょうか?かつて、ジャック・ニクラスが優勝パットを決めるとき、上空をジェット機が飛んで行ったことに気づかなかったというエピソードを読んだことがあります。ゴルフに限らず、本当に集中しているときは、そのような経験をすることが誰にでもあると思います。
成績が上がらない原因を他人に求めているうちは、それより上の段階には進めないでしょう。
他人の行動は変えられないので、自分自身が変わる努力が必要だと思うのです。

偉大なプレーヤー不動裕理選手の言葉

そのことが、何となくボンヤリと記憶に残っていた10月のある日、サンケイスポーツ(以下、サンスポ)の記事をネットで読む機会がありました。『ベテラン記者コラム 不動裕理の哲学 頑固なまでに「あるがままの原則」を貫く』というタイトルを見て、同じように「ゴルフはあるがまま」を信条とするネコは興味深くその記事を拝読しました。

通算50勝、不動裕理とは

その内容をご紹介する前に、不動裕理選手についておさらいしておきます。

ウィキペディアによりますと、
1996年、プロテストに合格をすると、新人戦の加賀電子カップでいきなり優勝。
2000年から2005年の6年間、連続賞金女王となりマネークイーンの称号を保持した。
2004年にプロ通算30勝を達成し、史上最年少で永久シードを獲得。
2008年には同じく史上最年少で生涯獲得賞金10億円を突破。
2007年1月、不動裕理絶対主義者の有志によって「不動党」が結成され、彼女が出場する試合には不動党バッヂを付けた党員が観戦している-。そうです。

戦績を見てみると、賞金女王を続けた2000年から2005年の6年間だけで37勝しています。福嶋晃子プロや服部道子プロに取って代わり、宮里藍さんや横峯さくらプロがブレークする直前の期間に圧倒的強さを見せつけたのです。
ちなみに、国内通算50勝は、樋口久子さん(69勝)、涂阿玉さん(58勝)に次いで歴代3位の記録です。

記事に載っていた不動選手の強さをあらわす言葉に感動

サンスポの記事には「あるがままの原則」について、不動選手のエピソードが書かれていて、正直「そこまで頑なに実践しているのか」と感心し、自分の「あるがまま」はまだまだだと素直に思いました。
そして、それ以上に惹きつけられたのがギャラリーの“観戦マナー”に関する言葉です。
かつて、サンスポベテラン記者の問いかけに「全然気になりませんよ。お金を払って見に来ていただいているお客さんに『止まってください』『静かにしてください』『どいてください』なんて失礼じゃないですか。そうおもいませんか」と答えたそうなのです。

2004年JLPGAツアーチャンピオンシップを連覇した不動選手(日本女子プロゴルフ協会HP)
https://t-champ.lpga.or.jp/2022/history_winners.html

鳥肌が立ちました。
出る試合、出る試合に優勝し、年間24戦中10勝した年を含め、6年連続賞金女王に輝くなど、全盛期には圧倒的な強さを見せつけた不動選手。その強さの秘密は、その精神力であり集中力であったのでしょう。

国内ツアーから「プレー入りまーす。」「止まってくださーい!」の声がなくなることを、ネコは秘かに願っています。

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